【投稿】ビールがある夜

１日の疲れを引きずりながら重い足取りで家に帰る。 玄関で靴を脱ぎ、ため息をつきながらパジャマに着替える。 家では軽い夕食をとって、風呂に入って寝るだけだ。

何かいいことがないかなあ…と口にしかけたとき、風呂場から妻の鼻歌が聞こえてくる。 いつになくご機嫌じゃないか。

 何気なく冷蔵庫を開けると、つやつやした銀色の缶が並んでいた。
「 あれ？缶ビールがあるじゃん！」

家にビールを置かなくなって久しくなる。冷蔵庫にあるとついつい飲んでしまうので、健康のためにアルコールは料理酒のみと決めて半年が経った。でも久しぶりにご対面するビールを見て、正直胸が弾んでしまった。

風呂場から妻の声が響いた「 お中元！ 同級生の〇〇さんから！」

キッチンカウンターに視線を移すと、きれいに畳まれた包装紙があり、その横にはメッセージカードが置かれていた。「そういえば、飲みに行こうって約束してたな」

久しぶりに連絡しようしてみようかな？　いや、連絡はしない方がいいかな？　そうだ、お礼を言わなくちゃ、でもお礼を言うには味を確かめてからじゃないとなあ…？などと考えながら、自然に頬がゆるんだ。

風呂から出てきた妻と目があった。 「早速 飲んじゃう？」という妻に力強く俺は答えた。
「飲もう！」

冷凍餃子をフライパンで調理し、冷たいビールで一杯。

明日もきっと頑張れる。 これもサプライズの贈り物のおかげだ。