初夏のうららかさを感じよう

介護のジカンー父親編⑦

言葉を忘れ全く声を出さなくなった父だが、必ず声を発する時がある。それは〈アリラン〉を歌う時。私たちがアリランを歌うとそれに合わせて声を出す。おそらく歌っているのだろう。

姉妹:アリラン アリラン アラリヨ…
父:ウー ウー…
姉妹:アリランコゲロノモカンダ
父:ヴァ―ヴァ―

家族を忘れ自分の名前を忘れ言葉さえ忘れてしまったけれど、この歌だけは忘れられないようだ。父は90余年の人生の中で幾度この歌をうたっただろうか。楽しい時やつらい時にこの歌をうたって喜び耐え忍んできたのだろうと思うと目頭が熱くなる。だから、この歌は父の脳ではなくDNAに刻まれているのかもしれない。

アリラン アリラン アラリヨ~
アリランコ~ゲ~ロノ~モカンダ~

今日も父と一緒にアリランをくちずさむ。父はけもののような声でアリランをうたいながら遠くに視線を送っている。

3 COMMENTS

頑張って👍

興味深く読ませてもらってます。
介護しながらアボジを事細かく観察する作者さん、親への深い愛情が伝わってきて学ぶことが多い。
私も旅立ったアボジ、オモニとの事を思い返すいいきっかけになりましたよ。ありがとう。連載、楽しみにしてます。頑張って👍

匿名と言う名の匿名

やはり一世の方々にとって「アリラン」は特別なんですね。
うちのアボジもそうでした。偶然ミリャンアリランを歌う動画を見つけて昨日見た所です。
楽しそうに歌ってたな〜
この文を読んで再び鼻の奥がツンと来ました…

匿名

私のシオモニは日本生まれなのでアリランを口ずさんだのは聞いたことがないけど、大好きな美空ひばりの『みだれ髪』をよく歌っていましたよ。
今でもこの歌聞くと喉の奥がつまる…😣
認知症になり5〜6年自宅で介護。
今は亡きシオモニを思い出す1曲かな☺️
この連載は必ず目を通してます。
作者さんの熱い思い、感じます🍀
素敵な連載ですね⭐️

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