初夏のうららかさを感じよう

ジンスーMy love ⑨

「なんか最近元気ないね。仕事大変なの?」
平日は夜中に寝に帰るだけの我が家で、久々に晩酌をした時、妻が心配そうに話しかけてきた。

「えっ、変わりないって言うか大丈夫だよ。何で?」と応じると「ふ〜ん。ならいいけど」と顔から何かを読み取ろうとしている。女性、特に妻の勘は鋭いから気をつけろと自分を戒めるジンスだ。彼の頭の中は(현주と付き合ってる訳じゃないから、当然浮気じゃない)と不毛な自己弁護が支配している。でも、やはり妻には言えない。

ここ最近、午後になるとしょっちゅうミミから電話がかかってくる。彼女との通話は洋画や韓国ドラマ、スポーツや趣味にまで及び、盛り上がるし彼女の知性がジンスの心をくすぐる。正月明け以来、ミミのいる가게に行ってないから気晴らしをかねて近々お邪魔しようかと思う。そして同じ埼玉在住の장호を誘った。장호は朝高からの同級生で、大学でも同じ学部だったから気心が知れた仲だ。誘った側がおごるのが二人の暗黙のルールである。まずは焼鳥屋で乾杯。二人の話題はおのずと同級生の事がメインになる。

ジンスは현주と二人きりで会った事を打ち明けて장호の反応を見たい衝動にかられる。장호は반위원をやってたし、民族楽器の奏者だったから현주との絡みはかなり多かった。「중창してる時の현주はなんか魅力あったよな」と言うくだりが、ジンスの話したい欲求を解き放つ。ひと通り話を聞いた장호は、驚いたばかりかひきつった表情になる。

「そりゃあ凄い話だな。なんでお前なの?」と応じた後、間をおいた。そして「やったろ?」と発した。「神に誓ってそれはない。彼女は人妻だよ。俺だってわきまえてるよ」とジンスが否定しても取り合わないばかりか、絶対同窓会でバラしてやると笑いながら息巻いている。でも、なんか悔しそうにしてるから、ジンスは小さな勝利を得たようで愉快になる。

二人はミミがいる가게に場所を移す。すいてる店内のボックス席にはアガシたちが待機していた。店長に案内され席につくと二人のアガシがやって来た。「ナナです。初めまして」と自己紹介しながら장호の隣に座る。

「ミミです。오빠 안녕〜」と嬉しさを隠さない彼女の仕草に、ジンスの頬がゆるむ。가게では、もれなく飲んで歌ってゲームして遊ぶ。アガシを上げたり下げたり茶化したりは장호の得意技でかなりウケる。でもこの日の장호はアガシとの会話をおざなりにし、ジンスを睨む感じで「お前やったろ?絶対やってるな」と繰り返しヒーヒー笑ってばかりいた…

         続く

1 COMMENT

匿名と言う名の匿名

そんなに「やった」事って気になるかな〜?
やっぱり気になるか。笑

ヘビーな素材を持ってきましたね。
同級生との禁断の…
一昔前ならドキッとしたろうけど、還暦過ぎると悲しいかな、そう言う脂っこいのはサラッと流してしまう自分が哀しいです。😭😭

「ヒーヒー笑う」ってどう笑うんだろう?🤔🤔🤔

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